えっ?キタナイの??

好評につき、「医療の常識・世間の非常識」の記事をお届けしましょうか(^_^)


例えば、今、患者として局所麻酔の手術を受けようとしているとしましょう。

自分に被せられた布の向こうから、こんな会話が聞こえてきたら、どう感じるでしょうか?


「あ〜その器具は不潔だから、その台の上には乗せないで!
でも最後に使うからそっちの棚に置いておいてよ〜」


・・・え、私にフケツな器具を使うの??



あるいは、見学しようとする研修医に向かって、上の先生が


先生は不潔だからあまり術野に近づかないように気をつけて!!」


・・・・上の先生から注意されるなんて、どんだけお風呂に入ってないの??
キタナイ〜〜、私に寄らないで〜〜(>_<)

という気になるかも知れませんが・・・・


おそらくソレは誤解です(^_^;) 
←一部の研修医はホントにお風呂に入っていないかもしれませんが、まあソレは置いておいて(^_^;)



手術の時の「清潔」は厳密なもの。

バイキン感染しては困りますから、器具はただ洗っただけの物ではなく、きちんと「滅菌(めっきん)」したものを使用します。


「滅菌」とは、菌などの増殖するすべての微生物を完全に死滅させるものであり、「菌を殺す」という概念だけの「殺菌」と異なり「完全に死滅させる」という意味合いが加わります。つまり、器具を「殺菌」したとしても、100%菌を殺している保証があるわけではないけれど、器具を「滅菌」したとなれば、100%菌を殺しているということなんですね。

(ちなみに、消毒、という概念は、少し意味合いが違いますが、一般的にはもっとキレイのレベルが下がりますので「滅菌」「殺菌」より少し「キタナイ」という感じでしょうか。)

で、一般的には滅菌されたものが「清潔」と呼ばれるのです。

術者の先生たちも滅菌されたガウンやグローブ(手袋)をつけて「清潔な」状態で手術に臨みます。
それがTVドラマなどで見られるあの青とか、緑とかの術衣と手袋をつけた格好なんです。

そして・・・そういった操作がなされていない器具は「不潔」なんですよね(^_^)

なので、見学に来ただけで滅菌ガウンを着ていない研修医は「不潔」・・・


今度から患者さんとして↑の会話を聞いたとしても、

「医療人なら、きちんとお風呂ぐらい入れ!!」

などと叱り飛ばさないようにしてくださいませ。